TX-0 は話が終わったから終了、と思ったのだが、興味深くていまだ研究中です。
OldGood COMPUTER のページに書いた記事だって、もう十分マニアックすぎて、いったい誰向けに書いているのかと自問するような内容です。
なのに、これ以上マニアックなことを研究しても、だれにも訴求しないし、伝えられない。
でも、知的好奇心を刺激される資料がたくさんあるんです。
「不経済タイプライタ」などの存在は記事中に書きました。
タイプライターなら安く買えるのに、わざわざ300万ドルもする TX-0 を占有して、キーボードを打ったらその文字をプリントアウトする、というプログラムを動かす。
同じように、不経済電卓、というのもあります。当時は電卓は高価なものだけど、もっと高価な TX-0 でわざわざ電卓の仕事をさせる。
このふたつは、「ハッカーズ」に載っていたものです。
調べていたら「不経済テープレコーダ」というのもあったらしい。
(ハッカーズでは「不経済」と訳していた語が、「EXPENSIVE」だというのも今回知った)
アナログデジタル変換回路を TX-0 につなげて、音声をデジタル化して、磁気テープにデータとして保存する。
保存したデータを再びデジタルアナログ変換して再生すると、音が聞こえます。
これ、現代でいうサンプリングだよね。1960年代に、こんなことやって遊んでいる。
bitsaver というプロジェクト(?)があるようで、WWI と今回の TX-0 ではずいぶんお世話になった。
当時の資料やソフトウェアを、とにかくデジタル化して保存しておこう、と言う試み。
WWI のソフトは残っていないようなのだけど、TX-0 はずいぶん残されています。
見ているだけで面白い。
音楽コンパイラの存在は知っていたけど、音楽ソースファイルを見て驚いた。
まるっきり、1980年代の MML だ。
必ずオクターブ指定と音長指定が必要だったり、簡略化できるような仕組みはなくて面倒くさいけど、cdefgab と、4分音符なら 4 、8分音符なら 8 …と書き連ねることで音楽を記述する。
少し前に「MML の元祖はどこにあったのだろう」と疑問を持っていたのだけど、これも TX-0 かもしれない。
#ところで、TX-0 に音楽再生機能はない。
アキュムレータの bit 14 がスピーカーにつながっていたのを利用して、「無理やり」音階を出すプログラムを作っただけ。
さて、ソフトが残っているなら動かしてみたい…と思うし、まさにそのためのプロジェクトが bitsaver なのだろう。
しかし、残念ながら TX-0 のエミュレータはない。興味深いものがたくさんあるのに、動かせない。
…ならば、作ってみますか。
現在 TX-0 エミュレータを試作中。
最初から、完全なエミュレーションはあきらめている。動作速度は違うだろうし、ましてや微妙なマシンクロックタイミングまで合わせようとは思っていない。
だから、音楽演奏のようなことはできない予定。
でも、ライトペンで Tic-Tac-Toe はやりたいな、と思っている。
完成するかどうかも定かではないけど、演算部分は動き始めたところ。
紙テープリーダーとテレタイプ端末のエミュレートも動いていて、紙テープ保存されたテキストファイルを読み込んで印刷することはできる。
(そういうプログラムを TX-0 上で動かせると面白いが、そうではなくて「作った部品」を組み合わせて印刷するようにしてみただけ)
紙テープに記録されたプログラムのフォーマットが正確にわからず、プログラム読み込みがうまくいかない。
アドレス部分は読み込めるのだけど、どうも命令が壊れているように感じる。
なんでもいいし、不完全でよいから、プログラムが動き始めれば俄然やる気が出るのだが。
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