簡単な絵本は子供に1歳前から読んであげているのですが、最近は多少難しい内容でもおとなしく聞いているようになってきました。
そこで、多少積極的に絵本を与えるようにしてみています。
実は、図書館で借りてくるのが安上がりだし、飽きっぽい子供に次々とお話を提供できるので良いのですが。
ところで、まだ複雑なものが読めなかった頃に「単純な話」、かつ子供が好きな「車の話」ということで、図書館で借りてきた本に「バルンくん」というものがありました。
お話の内容は、主人公の「バルンくん」と呼ばれる自動車が、「バルンバルン バルバルーッ」と、軽快なエンジン音を響かせて走り回ると言うもの。
色鉛筆をベースに書かれた、リアルなのに擬人化された絶妙の絵柄と、リズミカルな文章があいまって、子供のお気に入りでした。
この本、あまりにお気に入りなので買ってあげたい…と思っていたのですが、残念ながら絶版本。
それもそのはず、実は単独で発売された絵本ではなく、「こどものとも 0.1.2」という、0〜2歳児向けに毎月お話を届ける「雑誌」の1冊なのです。
で、我が家では同じ作者さんのかいた「このおとだれだ?」という本を買いましたが、こちらは登場する自動車が多いので楽しい反面、各種自動車のエンジン音を読み分けないといけないため、読んでいる親が疲れてしまうという大変な本だったりもします (^^;;
さて、ところが先日、「バルンくん」を本屋さんで見つけました。
あまりに人気が高いので「0.1.2 えほん」というシリーズで単行本として復刊された、という話は聞いていたのですが…
残念ながら、原作の持つ「あたたかな色鉛筆のタッチ」が失われていました。
なんか、色合いもわるくなっていて、微妙なグラデーションはつぶれていて、見ていて悲しくなる感じ。
どうも、元原稿は失われていて、印刷されたものを原稿に再び版を作り直したようです。
しかし、印刷されたものと言うのは、色の濃淡を「網点」であらわしています。
その網点を元にして再び網点を作り出すとどうなるかと言うと…いわゆる「モアレ縞」というものが発生してしまうわけです。
グラデーション部分はつぶれて、ポスタリゼーション効果をかけたようになっていますし、線は滲んだようになった上に、偽色も発生しています。
一応絵描きでもある妻によれば、バルンくんは色鉛筆ベースではあるがサインペンも使用しており、サインペンは経年変化で退色しやすいので、復刊する際にはすでに原稿が劣化してしまっていて使えなかったのではないか、とのこと。
なるほど…そこまで考えると復刊の際に残念な出来になってしまったことも、バルンくんのほかのお話が「単行本化希望」という声が多いにも関わらず復刊されていない理由もわかるような気がします。
絵本って、星の数ほど発売されていますが、本当に出来の良い、長く読み継がれる本はなかなかないです。
もちろん、絵本作家さんが一生懸命内容を練りこんでいるのはわかるのですが、子供が喜んでくれるかどうかは発売してみないとわからない部分もありますしね。
しかし、バルンくんのように人気が出たものであっても、今度は印刷技術などの問題で読みたい人に本を届けることが出来ない、ということもあるのですね…
なかなか難しいものです。
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