昨日見てきた「レベルX」展のパンフレットを読んだ。
パンフレットとはいえ、非常に面白い。
もっとも、展示品を読んで面白かったから買ってきたのだが。
1252本のファミコンゲーム…市販されたもののすべてだそうだ…を紹介している。
もっとも、ほとんどはタイトルと発売日、パッケージの集合写真のみ。
それなりに売れた主要なソフトは、ちょっとした解説がついている。
この解説がふるっている。
はっきりいって、この解説を読んでもどんなゲームかはわからない。
しかし、そのゲームを良く知っている人間にとっては、解説していることに「そうだった、そうだった」とうなずいてしまうのだ。
著作権の問題もあると思うが、僕の好きなゲーム「スペランカー」の解説を引用。
自分の背丈ほどの高さから落ちて即死。少しの段差でも即死。こうもりの糞で即死。
ゲームとして成り立つのか? と思うほど弱い主人公に愛を込めて、クソゲーのレッテルを貼られている。
スペランカーをやったことがある人ならわかるだろう。
「クソゲー」と呼びつつ、この文章を書いた人はスペランカーが好きに違いないと。
別のゲームも見てみよう。こちらも隠れた名作、「キャプテン翼」の解説を引用。
サッカーをシュミレーションゲームにしてしまうあたりが、当時の高橋陽一氏とその読者たち、並びに本作の作成スタッフのサッカーへの無知っぷりがよくわかる。
しかし、そうした勘違いのうえにつくられたシミュレーションの部分は大変よくできていた。
キャラクターゲーム=クソゲー、と無条件に考えてしまう人はまだいるかもしれない。
…バンプレストがずいぶんがんばって偏見も減ったが、もともとこの公式ができたのはバンプレストの親会社、バンダイのせいだった。
それはともかく、キャプテン翼もキャラゲーだから、馬鹿にして終わることは簡単だ。
しかし、そうはしない。この文章は、ちゃんとこのゲームを遊び、高く評価している人が書いたものだとわかる。
この2本のゲームは、それほどメジャーではないゲームかもしれない。
でも、多かれ少なかれ、すべての紹介がこんな調子だ。
メジャーなゲームというところで、「ドルアーガの塔」の解説も見てみよう。
グリーンスライムを3匹倒せ、呪文を盾で3回受け止めろ。
手ごわい怪物を倒しながら、各階に仕掛けられた謎を解いて宝箱を出すスタイルを「RPG」と呼ぶと初めて知った。
念のため言っておくが、このゲームはRPGではない。
しかし、ここであえて、カギカッコつきの「RPG」を持ち出したあたりに、解説を書いた人のセンスを感じる。
このゲームが発売されたときは、まだドラクエ発売以前。日本人のほとんどがRPGを知らず、「RPGのエッセンスを導入した」というこのゲームこそが、RPGなのだと信じていたのだった。
短い解説文章に、その当時の思い出までもがこめられている。
凝縮された俳句のような世界。このパンフレットは、ゲームへの愛に満ち溢れている。
実は、パンフレットと一緒に「CONTINUE」という雑誌の13号を買ってきた。
この雑誌、存在は知っていた。以前に目を通したこともある。
しかし、それほど面白いと思わなかったので買ったことは一度も無い。
13号を購入したのは、これが「レベルX」展とリンクした企画の号だったからだ。
レベルXのパンフレット作成にも、CONTINUE のライターがずいぶんと参加しているらしい。
13号では「僕たちの大好きなファミコン100」という特集を組んでいる。
どういう基準で選んだのかは不明だが、100本のゲームを、発売日順に並べて解説をつけている。
…この解説、愛が足りない。
レベルXのパンフレットを見た後だから余計にそう感じるのかもしれないが、特集記事ならライターの書いた記事を2重、3重にチェックしてほしい。
特に疑問を感じた、クルクルランドの解説を引用しよう。
「クルクルランド」は異常である。まずもってタイトルがヘン。加えて操作系が狂ってる。
ABボタンで右手、十字ボタンで左手を出して、ステージ上の棒を軸に回転移動。
たったこれだけなんだが、言うとやるでは大違い。
この後に、操作系がヘンなゲームだったという文章が続くのだが、そこまでは引用しない。
だって、この人が書いている操作系、勘違いしているのだもの。
クルクルランドの操作体系は、「ABボタンで衝撃波(敵をやっつける弾)をうち、十字ボタンを押したほうに腕を出す」だ。
確かに軸をつかんで回転移動というのは独特な操作だが、曲がりたいほうのボタンを押せば、そちら方向に素直に曲がることができる。
(ちなみに、同じころ発売されていた「ピンボール」では、ABボタンで右、十字ボタンで左のフリッパーを動かす。ライター氏は、この操作と混同しているのではないかと思う。)
「操作系がヘン」ということをネタに文章を書いているのに、その大前提が狂っている。
ライターが勘違いで文章を書くのは仕方ないとして、それが校正段階でも、ページ割付の段階でも、組版の段階でも誰からも突っ込みを受けないというのが問題だ。
他の解説記事には、まぁまともだと思えるものもある。
しかし、個人的な友達の話を書かれても…。ゲームの解説ではなく、ゲームの思い出話をする特集ならそれでもいいのだが、そういう趣旨ではないようだ。
結局、こちらの本は同人誌…それも、それほどできの良くない同人誌の域を出ない。
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