クリスマス・プディング(前編)
「男の料理」の最初の回(もう6年も前に書いたものだよ…)はクリスマスケーキでした。あれはあれで食べてみたかったケーキでしたし、その後も毎年のように作っています。
でも、クリスマスケーキといえばもうひとつ食べてみたいものが…。それは、イギリスではクリスマスの定番となっている、クリスマス・プディング!
さて、このクリスマス・プディングですが、情報を収集するとどうも良いうわさを聞きません。日本人の口には合わないとか、作って1ヶ月以上寝かせるのでかび臭いとか、牛の脂が入っているので臭いとか…
数年前に、イギリス留学経験のある人に聞いてみたら「え〜、そんなことないよ。おいしいよ」と答えが返ってきました。もっともこの人、ローファットキャンディーをおいしいという人なんですけど…
しかし、さらに調べると、悪いうわさを打ち消す情報も入ってきました。牛の脂を使うというのは、「ケンネ脂」と呼ばれる、上質の脂だということがわかりました。これは腎臓を包む脂で、熱を加えるとバターのように溶けます。
かび臭いといわれるのは、何年も寝かせたクリスマスプディングのこと。クリスマスプディングは1ヶ月程度寝かせたものがおいしいのですが、「寝かせるほどおいしい」として、高級店などでは数年物も入手できるとか。ただし、ワインと同じで寝かせすぎるとかび臭くなったりするので、一般的ではないそうです。
前置きが長くなりましたが、いろいろとわかってみると、「なんだ、普通のお菓子じゃん」という感じ。そんなわけで安心して作ってみましょうかね。クリスマス・プディングを…
| この材料写真は、全部そろってはいないです… 主要材料のみ。 ビンに入っているのは、昨年つけた漬け込みフルーツ。 |
最初に書いておきますが、この分量はかなり適当です。いろんな資料でクリスマス・プディングの作り方探したけど、全部書いてあることが違うんだもん。結局、家庭料理なので細かいことを気にするな、ということ。
基本は「生パン粉に、卵と脂を入れて、フルーツなんかを具にして、蒸して固める」という事です。いわゆる「パンプディング」と呼ばれるもの。
それさえわかっていれば、そのほかの材料は好みに合わせて増減してかまわないと思います。
ケンネ脂は、スーパーで「ご自由にお持ちください」だったすき焼き用の脂です(笑) 厳密にはこれはケンネ脂ではなくて「ヘット」ですね。
本当はパン粉の半分程度(120gくらい)入れるのですが、脂が違うので怖かったのと、5個もらってきたら60gだったので、その分量で済ませています。無い場合はバターで代用しても良いようです。
くるみはたまたまあったので入れただけ。漬け込みフルーツが300gなのも、あまっていたのがちょうどその量だったから。スパイス類は、本にはシナモンしか書いてなかったのですが、適当に増量してみました。
1. 生パン粉をつくる
パンを細かくして、生パン粉を作ります。
手でひたすらちぎればいいのですが、面倒な人、道具を持っている人は、ミキサーやフードプロセッサーで細かくしてしまいましょう。
粗めでいいそうですが、フードプロセッサーを使うと細かくなってしまいますね (^^;
2. スパイスを入れる
パン粉にスパイスを加えます。
えーと、シナモンだけで良いです。オールスパイスは肉料理などに良く使いますが、お菓子作りでも使うと聞くので入れてみました。カルダモンは「ついでに」入れただけです。
分量、量ってません。適当です。材料には「小さじ1」とか書いてますけど…。入れた後は、さっくりと手で混ぜてください。
3. 漬け込みフルーツを入れる
パン粉に漬け込みフルーツを加えます。混ぜると、漬け込みフルーツの水分をパン粉が吸い込んで、全体にしっとりする感じです。
賢明なる読者は気づいていると思いますが、漬け込みフルーツの作り方は第1回参照ね。
漬け込みフルーツが無いばあい、ドレンチェリーなどの製菓用ドライフルーツを適当に入れるんでも良いと思いますよ。その場合、牛乳などを少し加えて「しっとり」させると良いようです。
4. 脂と砂糖を入れる
ケンネ脂を、小さな鍋で火にかけて溶かしてから、パン粉に加えます。
バターを使う場合は「砂糖をバターと混ぜてから加える」そうで、僕はここでケンネ脂に砂糖を入れてみました。
…ぜんぜん溶けませんでした。そういえば、砂糖は油には溶けにくいのだった…
5. 卵と小麦粉を加える
卵を加えて混ぜます。急に水分が多くなりすぎて、ぐちゃぐちゃになると思います。生地も重いので、思い切って手で混ぜましょう。
ここで、薄力粉を一つまみ。(大さじ1くらい?) 粉が水分をすってつなぎになってくれるので、生地がまとまってくれます。
よく混ぜて、全体がなじんだら生地は完成。
6. 器にバター、小麦粉を塗る
クリスマスプディングには専用の器があるそうですが、もちろんそんなもの持っていません。
ちょうど、生地が全部入りそうな大きさのラーメン丼があったので、それで作ることにしました(笑)
器にバター・小麦粉を塗るのは、後で取り出しやすくするためです。ここまでバターを使っていなくて、バターを出していなかったので「別に大丈夫だろう」と小麦粉をいきなり塗ろうとしたら…粉が器につきませんでした。当然か (^^;
7. 生地を器に入れ、蒸す
生地を器に入れます。空気が入らないように、ヘラなどを使い、ぎゅうぎゅうと押し込んでください。
入れたら、アルミホイルで蓋をして、蒸します。本によって蒸す時間の記述が、1〜8時間と大きくばらついていますが… (^^;
おそらく、コンロで弱火なら1〜2時間でいいのでしょう。クリスマスの家庭料理だ、ということを考えると、ストーブの上(ものすごい弱火)においておくなら、半日(8時間)くらい置いておく、ということだと思います。
うちではストーブで、6時間くらい蒸してみました。
さて、蒸しあがったら蒸し器から取り出し、水分を飛ばすために蓋を取って冷まします。
この後、本来は清潔な布で包んで、風通しの良い日陰で1ヶ月ほど吊るして熟成させます。
我が家はマンションでそんな場所は無いので、冷蔵庫で寝かせることになりますが (^^;
クリスマスの当日には、もう一度蒸しなおして暖めたものに、ホイップクリームやカスタードクリームを添えて食べます。
その様子はまた1ヵ月後に…