オロブロンコ漬
いただきもののフルーツセットの中に、「オロブロンコ」なるものがありました。
グレープフルーツみたいな感じなのですが、切ってみたら妙に皮が厚く身が少ない…
「もしやこれは、皮を食べる果物なのでは?」と感じ、食ってみることにしました。
まぁ、こういうもので皮を食うと言えばザボン漬。というわけでザボン漬の作り方をしらべ、「オロブロンコ漬」を作ってみることにします。
日本では一般には「スウィーティー」として知られます。これは通り名で、日本に輸入する際に「オロブロンコ」ではややこしくて覚えてもらえないだろうと作り出された名前です。
現在では、イスラエル産をスウィーティー、カリフォルニア産をオロブロンコと呼んで区別しているそうです。
品種的にはグレープフルーツとザボンの交配種だそうなので、ザボン漬にするのは間違っていないようです :-)
材料 | |
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オロブロンコの皮 | 適当に…ここでは皮4個分で作っています。 |
砂糖 | オロブロンコの皮と同じ重さ 半量づつ2回に分けてつかいます |
水 | とにかく大量に! 味付けの際には、オロブロンコの皮と同じ重さと、その1/5の量を2回に分けてつかいます |
1.オロブロンコの皮を水につけ、苦味を取ります
皮をむき、適当な大きさに切った皮を水につけます。2〜3時間たったら水を取り替えます。2〜3回取り替えたら、そのまま一晩置きます。
オロブロンコは緑色をしています。しかし、時間がたつと黄色くなります。写真はまだ緑色の状態。
2.オロブロンコの皮を茹で、苦味を取ります
オロブロンコにかぎらず柑橘類の皮は苦いです。軟らかくなるまで30分くらい煮込んでください。
実は急な予定が入り2昼夜置いたので、皮が黄色くなっています(^^; しかしまぁ、大丈夫でした。アバウト料理なので。
3.オロブロンコの皮を水洗いし、苦味を取ります
まだやるのか! って感じですが、そのくらい苦いのです。
ザルに茹でこぼしたら、そのまま水につけてザバザバゆすぎます。この時も水を2〜3回替えてください。直接手でもんでも良いのですが、それをやるとちょっと風味が抜けた気がしました (^^;;
ちょっと齧ってみて、すこし苦いくらいなら終わりましょう。
4.水気をしっかり絞ります
柑橘類の皮って、スポンジみたいですからね。丈夫なのでぎゅっと絞っても平気です。
最初の写真ではこのボールにいっぱいあったのがわかるかと思います。ずいぶん縮んでしまいました。
5.半量の砂糖と煮ます。
やっと料理らしくなります。
水を絞った皮を鍋に入れ、砂糖半分(オロブロンコの皮の半分の重さ)と、その倍(皮と同じ重さ)の水を入れます。
火を入れながらしばらくかき回し、皮が全体に水分を吸うようにします。あとはふたをして10分ほど弱火で煮てください。
6.水分を飛ばします
ふたを開けて、今度は水分がなくなるまで煮詰めます。結構時間がかかりますが、焦げやすいので目を離さないように。
とはいえ、最初のうちは時々気にしていれば、べったりついている必要も無いでしょう。
まだ次の工程があるので、完全に水分を飛ばさないでもいいです。
上の写真と比べても、ずいぶん減ったのがわかるかと思います。それだけ水分も飛んでいると言うことです。
7.砂糖蜜を作ります
フライパンに、残り半分の砂糖と、わずかな水(オロブロンコの皮の1/5程度の重さ)をいれて、弱火にかけます。
沸騰して1分くらい煮詰め、蜜を作ったらそこに皮を入れます。
最初から全量の砂糖を入れて作っても良いのですが、まず薄い味をつけてから濃い味にしたほうが速く味がなじみますし、水分も少なくて済むので次の工程が楽になります。
8.ひたすら水分を飛ばします
ここからは根気良く水分を飛ばす作業です。フライパンを使うのも、鍋よりも平たくて水分が飛びやすいからです。
柑橘類の皮はスポンジのように水分を吸うので、逆に水分を飛ばそうと思うと大変です。
時間がかかるのですが、すでに砂糖が濃くなってきているので焦げやすいです。目を離さずに根気良く煮詰めてください。
9.グラニュー糖をまぶします
水分が十分にとび、表面に自然に砂糖の結晶が出てくるようになれば完成です。
グラニュー糖などを表面にまぶすと良いのですが、家に無かったので白砂糖をかけました (^^; 飾りであると同時に、最後の水分を吸わせるものでもあるので、なにかしらまぶしておきましょう。
10.完成!
お茶受けなどにどうぞ。柑橘系の香りが口の中に広がってとてもおいしいです。
ここではお上品に飾ってみました。ビンなどに入れておけば、結構保存がききます。
オレンジピールとかザボン漬けとか、柑橘の皮を砂糖で煮込んだ保存食と言うのは洋の東西を問わずしてあるのですが、最初に皮を食べようと思った人は偉いよな…と思います。
ここまで苦味抜きして、砂糖を十分に含ませないととても食べれたものじゃないし。
そういえば、今年もクリスマスケーキ作ってます。あれは「半年もかかる」ことが酔狂で面白いから作っているだけなのだけど、オレンジピールなどのドライフルーツ作りから始めたら1年かかるのでは…
10年もたって、また類似料理を作りました。
今度は文旦で。
ここに載っているレシピは、まだ料理慣れしていなかったころに、どこかのレシピを見て真似たものです。
「失敗しない作り方」ではあるけど、時間がかかりすぎる気がする。
というわけで、「工程の意味がちゃんと理解できている人のための」短縮レシピ。
1. の改良
最初は柑橘の皮には「濃い何か」があるため、水がすぐに濁ります。1時間程度で交換。
2回目はゆっくり2~3時間つけておく。これで終了。
まだ苦くて構いません。茹でこぼしでかなり苦みが抜けますし、その後も火を通す間にだんだん苦みが消えます。
5. の改良
この後散々に詰めて火を通すので、ふたをして10分、の工程は不要です。
水も少なめに。熱いお湯にはかなりの量の砂糖が解けるので大丈夫。
濃い目の糖蜜となってしまうわけですが、柑橘の皮はスポンジのようなもので、すぐに中心までしみこみます。
6. と 7. の改良
5. である程度皮に糖蜜がしみたら、残りの蜜をフライパンに移します。
この際、皮を入れた鍋は弱火で、水分を飛ばし続けます。
フライパンのほうは、強火で水分を一気に飛ばします。この際、残りの砂糖もこの糖蜜にほおり込み、濃い糖蜜を作りましょう。
そして、鍋の皮をフライパンに入れ、蜜を吸わせます。
8. の改良
表面積の大きいほうが水分は飛びます。
フライパンの材料がなじんだら、ふたたび鍋に「半分だけ」戻しましょう。
そして、フライパンと鍋の両方で水分を飛ばします。
ある程度水分がとんだら、弱火にするのですが…
現在、我が家は10年前とは環境が違います。高気密住宅なのでストーブは使わなくなり、ガスコンロではなく IH になりました。
2003 年に書いた日記のほうにありますが、ガスコンロでは弱火にしても焦げやすいです。そこで、ストーブの上において水分を飛ばしていました。
今回は、IH の「ガスの弱火より弱い」火力でやってみました。これでもストーブよりは強く、30分ほどでよい状態になりました。
最後に、フライパンと鍋で水分の飛び方に多少差が出てしまうので、フライパンにまとめます。
水分が飛べば量が減っているので、もう少し水分を飛ばしながら全体をなじませます。
これで基本的に出来上がり。後の工程「砂糖をまぶす」は同様です。
元のレシピだと2日かかる料理ですが、1日で作れるようになりました。