吉田(現在の豊橋)辺りになると、交通費だけでなく、交通の方法も問題となってきました。
できれば、午前の早いうちから歩き始めたいと思っています。これは距離を稼ぐためというよりは、夏の強い日差しを避けるためです。
とはいえ、名古屋まで行くとなると新幹線でも2時間。始発の時間を考えると、涼しい時間を随分とむだにしてしまうことになります。
そこで、今回は夜行列車を使用することにしました。
ムーンライトながら。ちょうど夏休みということもあり、青春18切符で安く上げることもできます。
ムーンライトながら は全席指定なので、3日ほど前に予定していた日の予約を入れます。緑の窓口にお願いすると…「あぁ、その日は全部埋まってますね」とつれない答え。
妻が機転を利かせて「小田原からで探して見てください」と頼むと…ありました。
妻によれば、小田原で路線区の切り替えがあるので、座席指定などのコンピューターシステムもそこで切り替わっている事があるのだとか。
大学時代に貧乏旅を趣味としていた妻の知識に救われました。
大船から普通電車で小田原へ。そこで乗り換え、電車の中で仮眠をとりながら豊橋へ向かいます。もっとも電車の中は冷房が効き過ぎていて寒く、あまり眠れなかったのですが。
豊橋着は午前4時半。随分長い東海道歩きでも、はじめての「七つ発ち」となりました(笑)
豊橋くらいの規模の駅なら、近くにファミレスなりコンビニなりあるだろう…と思っていたのですが、これは甘い考えでした。
どうも、東海道ではこの「食べるとこ予測」で泣かされていることが多いような… (^^;
前回終了地点に向かって歩きながら店を探すのですが、ありません。
「このまま豊橋を越えたら、きっと食べるところはない」と、無駄に走り回りながらコンビニを探すのですが、やっぱりありません。
寝不足で、朝ごはんを食べずに、無駄に歩き回る…歩き始めから疲れました。
街の中をぐるぐると、もう1時間も歩いています。さすがにあきらめて、「仕方が無い、先に進もう」とあきらめたところ…
豊橋のちょっと手前にサークルKを発見。なんだ、真っすぐ進んでいればよかったのか (;_;)
サークルKでZIP CURRY2(500円)、トリテリマヨ弁当(250円)を買い豊橋の見える川縁に座って食べます。
広重の絵は、城の上空から吉田大橋を眺める視点で描かれています。
現在「吉田大橋」と呼ばれている物は近年新しくかけられたもので、広重の描いた吉田大橋というのは、この豊橋のこと。
さすがに城の上空からの視点は無理なので、弁当を食べた川岸からの写真です。
弁当を食べた後、テーピングも済ませてやっと本格的に歩く準備が整いました。時間は既に6時を過ぎています。
さぁ、気を取り直して出発です。
しかし、この道もまた何も無い道で…
10分も歩くと下地一里塚を発見しましたが、そこから次の伊奈一里塚までの1時間、おもしろいことは全くなし!
一里塚からしばらく進むと、小さな川がありました。
なぜか河川敷に山羊がいます。しかも、長い川に沿って点々と…
よくみれば山羊はロープで繋がれていますし、山羊小屋もあります。どうやら河川敷の草を食べさせているようです。しかし不思議な光景。
さらに、その近くにあった橋は、アスファルトで舗装されているのだけど実は木製。
そういえば、うちの兄貴の嫁さんはここらへん出身のはず。豊橋の近くだけど田舎、と言っていたのはこういうことなのか?
やがて、本当の田舎道になります。しばらくの間、ずっとたんぼ。
たんぼのすぐわきの道を歩いていたら、大量の小さなカエルが、たんぼに逃げ込みました。
「すごーい。パッと見には分からないけど、すごくカエルがいるね」 妻が驚いています。
そういわれて気になってたんぼを見ると…なにやら、すごく大きなタニシが。これはジャンボタニシ!
ちょうど歩く少し前に、テレビでジャンボタニシの話をやっていたのです。
ジャンボタニシ…あわびみたいな味がして、食べるとおいしいそうです。
それで80年代に積極的に輸入・養殖されたのですが、寄生虫を媒介することが分かってタニシを食べることが禁止され養殖場が廃業、逃げ出して野生化したタニシがたんぼを荒らしていると…
繁殖力もあり、すでに関東でも見られるようですが、たしか被害の中心は名古屋近辺だったはず。
気にして見れば、たんぼの中にはジャンボタニシが結構いるし、ピンク色の卵はそこら中に生み付けられているし…
なにか気味悪いものを見てしまったような気がします。今年は冷夏だというし、農家の人は大変だ、と話しながら先を急ぐのでした。