二川  2003/7/18 15:30  「吉田」まで 5.7km

愛知県境車道以外には水田しかない寂しい道を歩いて行くと、ついに静岡を抜けて愛知へ入りました。

広重の描く二川は、「猿が馬場」といって近江(静岡)と三河(愛知)の国境の辺りになります。つまり、県境こそが、広重の絵の地点。

広重「二川」現在の「二川」



絵には柏餅屋が描かれています。国境を挟んで両側にあったそうで、ここらへんの名物だったようですが当然今ではありません。

昔は野原だったというこの地も、今では水田ばかりです。


豊橋一里山愛知県に入ってすぐ、三河で最初の一里塚である豊橋一里山を発見します。

この一里塚、「一里塚跡」ではなく、昔のままのものらしいです。人工的な築山に榎を一本…だったはずが、手入れもされないまま放置され、今では森のように茂っています。

昔のままとは言っても、大切に保存されていたという訳では無さそう。


この後は、何もないところに国道1号だけが伸びている道となります。

…車道は立派だけど、歩く人のことなんて全く考えていないみたい。歩道はアスファルトが割れて雑草伸び放題。時々バス停がありますが、バスは朝と夜に2本づつしかないようです。


こんな道だから、当然コンビニなんてありません。自動販売機もないどころか、そもそも腰をおろして休めるようなところすらない!

あまりつまらない道だと、歩いていても早く疲れます。30分ほど歩いて休憩。もちろん休む場所もないので、道端に座り込んだだけです。


「本当に、まっすぐな道でさみしいな。腹減ったし」

「もうすぐ市街地があるので…間の宿だったところだと思うけど、そこまでいけば何かあるんじゃないかな」


二人とも、ここまでのパターンでそんな小さな市街には何もないことに気づいてはいます。

しかし、愛知に入ったのだからなにか違うかもしれない、もしかしたらコンビニくらいあるかもしれないと、わずかな希望を胸に道を歩き続けます。


二川一里塚30分後。市街に入り、酒屋の軒先にあった一里塚跡を発見します。

この酒屋は、残念ながらコンビニとしての機能はないみたい。せめてアイスでも売っていればありがたかったのだけど。

ファミレスは…とてもあるとは思えないような町です。食べられれば定食屋でもなんでもいいのだけど。

せめてコンビニでもないかと話ながら町を進みます。あの角を曲がればあるのではないか、そこの通りをわたれば見えるのではないかと…


この町には、二川宿本陣の史跡もありました。

疲れて休みたいし、今回随分観光しているのでついでに見て行くか…と思いきや、開館は16時半まで。今の時間は16時40分で、閉館した直後でした。残念。

もう少し歩けばJR二川駅だから、さすがに駅前には何かあるだろう…と思ったのですが、あっさり駅を通り過ぎました。そして、過ぎてすぐに町は終わり。ショックです。二人ともショックを隠し切れません。


「もう、どこでもいいから休もう」と、車道脇の空き地を見つけて座り込みました。

昨日買ったお菓子食べない?」と妻に言います。お土産のつもりだったけど、何も食べないのはつらすぎる。結局昼ご飯抜きで歩きつづけているのですから。

体の小さいぶん妻の方がエネルギー切れは深刻らしく、炭水化物がほしいと言いながらお菓子を開けます。

ちょっと甘いのがありがたい。勢いづいて半分位食べてしまいます。


靴を脱いで足を揉みながら、しばらくぼーっとします。

「今戻れば駅あるよ」と提案したところ、妻は絶対にいやだと言います。


僕としても、新幹線の止まらない駅でやめるよりは豊橋まで進みたいです。

でも、歩き疲れたし、足も痛いし、股擦れが深刻なほどに痛いんです。


一生懸命考え、時間なども計算して、決めました。

「かなり限界だけど、あと一里程度だからなんとかなるだろ。進もう」


すでに休憩40分。お菓子を食べ、話をしながらもずっと足をマッサージしていました。

歩き始めても、さっきよりはいい気がします。吉田に向けて、ふたたび歩きだします。

(ページ作成 2003-10-20)

前記事:白須賀     戻る     次記事:吉田
トップページへ

-- share --

0000

-- follow --




- Reverse Link -