見附  2003/7/17 13:20  「浜松」まで 16.4Km

13時20分、緩い坂を下った所に、「遠州見附宿木戸跡」と書かれた道標を見つけました。どうやら、見附に入ったようです

そのすぐ向かいには一里塚跡…普通一里塚は街道沿いにあるはずなのですが、階段があって「一里塚はこの上です」と書かれています。

え〜、それはおかしいよ…と思いつつ、上と言われたので階段を上ります。50段くらいあったでしょうか、疲れた足には結構きつい階段を上り、神社の境内になりましたがそれらしいものは見当たりません。

阿多古山一里塚見ると、おやしろの裏手にまだ小山が…下からその山を見上げると、なにやら石柱が立っているのがわかります。その山を上ると、「一里塚」と書い石柱を確認できました。


いや、絶対おかしいって。一里塚は旅人のためのものだから街道沿いにないと意味がないし、こんなに山を上った所に一里塚を作っても仕方がない。

そもそも、この一里塚跡の説明版にも「五間四方の一里塚を築き」と書いてあります。五間四方って、せいぜい10mなのに、この山は神社があるくらいなので明らかにそれより大きいですよ。

まぁ、憤慨していても仕方がない。話の種として「なんであれが一里塚なのか」と妻といろいろ推察しながら歩いていきます。いや、根も葉もない推察ですけど、歩いていると暇だから、こういうのはいい話のタネになります。



いよいよ本格的に見附宿へと入っていきます。見附宿は現在の磐田…サッカーのジュビロ磐田で有名な町です。もっとも、昔の宿とJRの駅は随分と離れていますが。

昔の宿のあたりの商店街では、「見付風鈴市」というものを行っていました。商店街の加盟店が、それぞれ風鈴を売る…というだけなのですが、各店舗の前に「当店の風鈴は300円です」とか書かれて風鈴が下がっており、情緒があります。

和菓子屋の風鈴は安くても趣のあるものだったし、家具屋の風鈴は立派で高いものでした。それぞれの店主のセンスも問われるのでしょう。


浮田幸吉住居跡商店街を歩いていると、唐突に「鳥人 浮田幸吉住居跡」と書かれた碑を見つけました。それ以外は何の説明もなし…

しかし、「鳥人」と呼ばれる人は、多分あれじゃないかな。ライト兄弟より先に、世界で最初に空を飛んだっていう日本人。最初はゴム動力の模型からはじめたたとか… 話は聞いたことありましたけど、見附の人だったんですね。


…とこの時は思ったのですが、僕の記憶は「浮田幸吉」と「二宮忠八」が混ざっていました (^^; また、浮田幸吉は岡山の人だったのですが「世間を騒がした」罰により追放となり、晩年を過ごしたのが見附のようです。


さて、当初の予定では磐田で一泊するつもりでした。しかし、朝早く出発したこと、運悪く(?)瀬戸の染飯も掛川の葛菓子も食べそびれた事などがあいまって、まだ日は高いです。


「次の浜松まで歩かない?」と妻。そうすると彼女がWEBで書いている旅日記はおかしなことになるのですが… 「えーと、前回走ったのが観光できずにもったいなかったから、歩き直したら今度は時間が余ったことにして0.5日扱いで…」と、言い訳まで考え初めています。

僕はといえば、まだ体力はあるのですが、足が痛くなり始めているのが気にかかっています。高級中敷きの効果はなかったのか、それとも久しぶりだからか…。 歩き始めてから一回も休んでいないので、そのせいかもしれないとも思っています。


「不安もあるから、とにかく昼飯を食べて、まとまった休みを取りながら考えよう」ということで意見が一致。昼食を食べれそうなところを探します。

ところが、食べるのに良さそうな店がありません。暑いし疲れているので、さっぱりした冷やし麺とかがいいなぁ、と考えていたのですが、そういうものを出してくれそうな店がない。

探しながら歩くうちに、旧「見附宿」は通り過ぎてしまいました。

「この先、1kmもあるけば今度は駅前の繁華街があるから、そこなら食事できるでしょ」と、言いながら歩きますが、町並みは寂れるばかり…。

見附から次の浜松までは、4里(16km)も離れています。1里というのは1時間で歩ける距離ですから、到着は早くても4時間後、足が痛くなったりすればもっと遅れます。

現在時刻は14時。4時間後は18時です。実は今回の旅の目的の一つに「浜松でウナギを食う」事があるのですが、目的の店の閉店は19時30分です。これは絶対に逃したくないっ!!(笑)


しかし、ここで浜松まで進んでおくと、後の予定が楽になるのも事実です。

磐田で泊まると、明日は頑張っても二川辺りまでしか進めません。そのあたりには新幹線の駅がなく、移動が困難です。

しかし、浜松までいけば、明日豊橋まで進める可能性が出て来ます。豊橋なら新幹線の停車駅です。

磐田駅が近づくと、街並みは再び活気を取り戻します。しかし残念ながら、目的とするような「冷たいあっさりしたもの」を食べられる店がありません。先を急ぎたいのでファミレスとかも避けたいし。

ついに駅前まで来てしまいました。駅を通り過ぎて旧東海道沿いを進んでみます。しかし少し進んでも店はなく…


現在時刻は14時過ぎ。決断しなくてはなりません。

宿駅間の距離は、高札場の位置で計測しています。見附宿の高札場は宿に入ってすぐで、そこからすでに1時間は歩いています。

すると残り距離は12km。浜松の高札場がどこか分かりませんが、宿に入るまでなら10km程度かも知れません。宿に入ってすぐ、タクシーを拾って鰻屋までいけば、多少歩くのが遅れても閉店に間に合うか…


「よし、このまま浜松まで歩こう」 今考えたことを妻に言うと、妻も同じ考えのようでした。

ちょうどそこに自販機があったので、ペットボトル茶を2本買います。もう飲み物がなくて脱水気味だったのですが、喉を潤すと先に進む元気が出て来ました。

どこかで昼ご飯は食べなくては…と思っているのですが、もう時間が時間なので、おやつくらいにしておいた方がいいかも。腹いっぱいになっちゃって、夜の鰻が食えないのは嫌ですし。

らーめん餃子 とんやん14時30分、ラーメン屋に「冷やしラーメン」の看板が出ているのを見ます。「量多すぎることはない?」と妻に聞くと、「あっさりしていればいくらでも食える気分」との答え。この店に入ります。

この店、どうも店主が映画好きらしく、入ると壁中に映画ポスターが貼ってあります。いや、壁だけでなく天井にまで。


特に今はハリーポッターが好きなのか、僕らが座った一角はハリーポッターだらけ… 店の入り口には、映画俳優の顔写真を見て名前をフルネームで当てるクイズが掲示されており、「当たったら食事代無料」(グループの場合は1名のみ無料)なんだそうです。

ピリ辛タンタン冷やしラーメンさっぱり和風冷やしラーメン僕らが頼んだのは、さっぱり和風冷やしラーメンと、ピリ辛タンタン冷やしラーメン(各490円)。シンプルですが味は悪くなかったと思います。腹減っていたので保証はしませんが。


さて、腹も膨れたし、しばらく休憩したら足の痛みもなくなっていました。これならバリバリ歩けそう。15時頃、ふたたび浜松に向けて出発です。

宮之一色一里塚歩き始めてまもなく、一里塚を発見しました。

宿と宿の距離は、宿のなかで一番人通りが多いところに作られた「高札場」の距離で測られます。見附の入り口に一里塚がありましたが、あれは高札場よりずっと手前のはず。それから一里歩いたと言うことは、浜松の入り口まではもう三里ないということになります。到着予定時刻18時なら予定通り。


このあと、しばらく何も無い道が続きます。途中から現代の車道と別れますが、そのまま先に進んでも道がなくなることはわかっています。結局後で車道沿いに戻ることはわかっているのですが…

道はすぐに天龍川に突き当たります。昔はあばれ天龍とよばれ、大井川とおなじくらい川越が大変だったそうです。

広重「見附」現在の「見附」



広重の描く「見附」も、天龍川の渡しの図でした。現在は当然渡しは無いので、先ほど別れた車道に向かい、合流します。そこに橋がかかっているからです。

昔から天龍川は難所の一つだったようですが、現在は東海道歩きの最難関と言う人もいます。なにせ、橋は車道のみで歩道がありません。しかも、車はこの橋に集中するために交通量は多く、ダンプカーもビュンビュン通ります。ここを歩くのは、とにかく怖い!

しかし、運がよいことに時間はすでに15時半。営業車などが一斉に帰社しはじめる時間帯です。交通量は多くなりすぎ、橋の上は渋滞していました。車がほとんど止まっているので、歩いていてもそれほど怖くはありません。

しばらく橋の上を歩いていると、妻が「歩くの怖くない?」といい始めます。まぁ、この橋は危険だと言うのは前から聞いていた話だし…というと、「いや、そうじゃなくって走ったほうがよさげ」

渋滞しているとはいえ、車の速度は人間の歩く速度より速いです。でも、走れば同じか、人間の方が速いくらい。後ろから抜かされるより、前のものを抜かしていく方が怖くない、という妻の主張。


僕は走るほどの元気は無いので、橋が終わった所で落ち合うことにして別行動です。妻はどんどん走っていき、僕は着実に歩いていきます。…この橋は長いので、渡り終えて落ち合うのは10分後となりました。


天龍川には、現在2本の橋がかかっています。歩いたのは古いほうの橋。こちらのほうが少し交通量が少ないそうです。
 2つの橋の間に、3本目の端をかける工事が行われていました。この橋にはちゃんと歩道がつくらしいので、天龍川も渡りやすくなるでしょう。

(ページ作成 2003-08-03)

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