世界初の…

目次

チャールズ・バベジのチェスマシン構想(19世紀)

ブラウン管娯楽装置(1947)

Bouncing Ball(1950)

OXO(1952)

Tennis for Two (1958)

Tic-Tac-Toe(1959)

迷路のねずみ(1959)

SPACE WAR!(1962)

BROWN BOX(1968)

COMPUTER SPACE(1971)

ODYSSEY(1972)

PONG(1972)

言葉を見直す

世界初テレビゲームコンピューターゲームゲーム

まとめ


Tennis for Two (1958)

Tennis for Two は、アナログコンピューターと追加回路を使用し、オシロスコープの画面上で遊ぶテニスゲームです。

ウィリアム・アルフレッド・ヒギンボーサム(William Alfred Higinbotham)によって作られました。


この動画は、2010 年に復元されたもの。
できるだけ当時の再現を試みたそうだが、回路の動作チェック用(?)に LED 使われているので「全く同じ」ではない。

ヒギンボーサムは、日本に投下された原爆の作成計画にも関与した、原子力研究機関に勤めていました。

「原爆に関与した」ということで付近住民は研究所に不安を持っていました。この不安を減らすため、付近住民に研究所を開放する「見学会」を毎年行っていました。

この見学会を楽しいものにするために作られたのが、Tennis for Two です。戦争の武器となっていたコンピューターを、平和目的に使いたい、という気持ちもあったようです。

(実際、彼は核兵器に反対の立場で、後に核兵器拡散防止団体の初代議長・最高顧問となっています)


すでに書いた通り、当時のアナログコンピューターでは「放物線を描く」ことはできますが、それ以上のこと…ボールが弾んだり、進行方向が逆になったり、などはできません。条件判断により、パラメータを変化させることができないのです。

Tennis for Two では、アナログコンピューターの外部にリレー回路を接続し、条件判断によるパラメータ変化を無理やり実現しています。

そのため、パラメータが変化する瞬間…ボールが弾む、ラケットで打ち返される、などのときにはリレーの動作音がします。これがちょうど効果音としても働き、「非常にリアルな」テニスゲームを楽しめました。


ただし、用意されたのは「テニス場」のみで、勝ち負けの判定すらありません。細かなルールは人間が自主的に判断する必要があります。

それでも、人を相手とする対戦ゲームであるがゆえに、このゲームは面白いものだったようです。展示は大好評で、何人もの人が遊んでいます。


しかし、このゲームも OXO と同じく忘れ去られ、ゲームが一般化してから再発見されています。


もっと知りたい!

YouTube Tennis for Two

この項冒頭の動画。2010年に復元されたもの。


CLASSIC VIDEO GAME STATION ODYSSEY 2001 の Tennis for Two のコーナー

後ほど挙げる、BROWN BOX や ODYSSEY についてはおそらく日本一詳しいサイト。Tennis for Two についての解説もあります。


Tennis for One

<<2016.11.11 の Nifty のホームページサービス終了で消滅>>

Java で作られた Tennis for Two 風のゲーム。コンピューター相手に対戦できる。

本物は点数とか、OUT の判定とかは存在しない。あくまでも「それ風」なだけ。


Tic-Tac-Toe(1959)

迷路のねずみ(1959)

迷路のねずみ2つまとめて紹介します。Tic-Tac-Toe と迷路のねずみは、MIT の TX-0 コンピューターで作成されたゲームです。

作られたのは同じ年ですが、Tic-Tac-Toe の方が古いようです。


先に Bouncing Ball の作者として登場したチャールズ・アダムスは、TX-0 のアセンブラを作っています。そして、最初のうちは学生たちに TX-0 のプログラム方法なども教えたようです。

多分この過程で Bouncing Ball などの話もしたのでしょう。学生たちは、Bouncing Ball のように「ディスプレイに面白いものを表示する」プログラムを競って作り始めます。


Tic-Tac-Toe は OXO と同じ、三目ならべを題材としています。TX-0 に備え付けられた「ライトペン(ライトガン)」によって操作され、誰でも簡単に遊ぶことができました。

もちろん、Tic-Tac-Toe はバベジに始まる「人工知能」研究の一環でした。…つまり、OXO と同じく研究の側面が強く、「ゲーム」と呼べるような面白いものではありません。

しかし、学生間の競争心により、「迷路のねずみ」に影響を与えます。


迷路のねずみもまた、「すごいプログラム」として講師のジョン・ワード(John E. Ward)によって作られた一種のデモでした。

はじめて「生きているような」アニメーションキャラクターを表示したゲームでもあります。


ユーザーは自由に迷路を作ることができます。そして、ネズミはその中を走り、チーズを食べ、迷路を学習します。

元がデモなので、ゲームらしさはやはり少ないです。

しかし、「人を驚かせるために」作られた、数々の細かな仕掛けのために、ぎりぎりのところでゲームとして成立する内容になっています。




MIT では毎年一般開放日を設けており、その際には TX-0 でもさまざまなデモが行われました。

各種デモプログラムの操作方法をまとめたメモが残っています

その中に、もちろん Tic-Tac-Toe と「迷路のねずみ」も入っています。


Tic-Tac-Toe は、もしかしたら一般の人にも遊んでもらったかもしれません。

「迷路のねずみ」は遊び方の理解に時間がかかるゲームなので、おそらくデモのみだったでしょう。

しかし、一般人がコンピューターゲームに触れることができた、初期の一例です。


もっと知りたい!

迷路のねずみの遊び方説明

ゲームルールがかなり複雑なので、遊び方がわかりにくいです。遊んでみたい人は、まずは上の説明を。


Tic-Tac-Toe

迷路のねずみ

Javascript で動作する TX-0 エミュレータの上で、2つのゲームを動かします。

HTML5 が理解できるブラウザが必要です。一応 Android 携帯でも動作確認してあります。(画面が狭くて遊びづらいけど)

以上、僭越ながら自分のページで扱っているものを紹介。(TX-0 関連は、自分のページ以外にあまり情報を見ないため。英語ならあるのですが、実際のゲーム内容まで踏み込んでいるのは皆無。)


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(ページ作成 2013-09-01)
(最終更新 2013-09-02)

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