世界初の…
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Tennis for Two (1958)
Tennis for Two は、アナログコンピューターと追加回路を使用し、オシロスコープの画面上で遊ぶテニスゲームです。
ウィリアム・アルフレッド・ヒギンボーサム(William Alfred Higinbotham)によって作られました。
できるだけ当時の再現を試みたそうだが、回路の動作チェック用(?)に LED 使われているので「全く同じ」ではない。
ヒギンボーサムは、日本に投下された原爆の作成計画にも関与した、原子力研究機関に勤めていました。
「原爆に関与した」ということで付近住民は研究所に不安を持っていました。この不安を減らすため、付近住民に研究所を開放する「見学会」を毎年行っていました。
この見学会を楽しいものにするために作られたのが、Tennis for Two です。戦争の武器となっていたコンピューターを、平和目的に使いたい、という気持ちもあったようです。
(実際、彼は核兵器に反対の立場で、後に核兵器拡散防止団体の初代議長・最高顧問となっています)
すでに書いた通り、当時のアナログコンピューターでは「放物線を描く」ことはできますが、それ以上のこと…ボールが弾んだり、進行方向が逆になったり、などはできません。条件判断により、パラメータを変化させることができないのです。
Tennis for Two では、アナログコンピューターの外部にリレー回路を接続し、条件判断によるパラメータ変化を無理やり実現しています。
そのため、パラメータが変化する瞬間…ボールが弾む、ラケットで打ち返される、などのときにはリレーの動作音がします。これがちょうど効果音としても働き、「非常にリアルな」テニスゲームを楽しめました。
ただし、用意されたのは「テニス場」のみで、勝ち負けの判定すらありません。細かなルールは人間が自主的に判断する必要があります。
それでも、人を相手とする対戦ゲームであるがゆえに、このゲームは面白いものだったようです。展示は大好評で、何人もの人が遊んでいます。
しかし、このゲームも OXO と同じく忘れ去られ、ゲームが一般化してから再発見されています。
もっと知りたい!
この項冒頭の動画。2010年に復元されたもの。
CLASSIC VIDEO GAME STATION ODYSSEY 2001 の Tennis for Two のコーナー
後ほど挙げる、BROWN BOX や ODYSSEY についてはおそらく日本一詳しいサイト。Tennis for Two についての解説もあります。
<<2016.11.11 の Nifty のホームページサービス終了で消滅>>
Java で作られた Tennis for Two 風のゲーム。コンピューター相手に対戦できる。
本物は点数とか、OUT の判定とかは存在しない。あくまでも「それ風」なだけ。
Tic-Tac-Toe(1959)
迷路のねずみ(1959)
2つまとめて紹介します。Tic-Tac-Toe と迷路のねずみは、MIT の TX-0 コンピューターで作成されたゲームです。
作られたのは同じ年ですが、Tic-Tac-Toe の方が古いようです。
先に Bouncing Ball の作者として登場したチャールズ・アダムスは、TX-0 のアセンブラを作っています。そして、最初のうちは学生たちに TX-0 のプログラム方法なども教えたようです。
多分この過程で Bouncing Ball などの話もしたのでしょう。学生たちは、Bouncing Ball のように「ディスプレイに面白いものを表示する」プログラムを競って作り始めます。
Tic-Tac-Toe は OXO と同じ、三目ならべを題材としています。TX-0 に備え付けられた「ライトペン(ライトガン)」によって操作され、誰でも簡単に遊ぶことができました。
もちろん、Tic-Tac-Toe はバベジに始まる「人工知能」研究の一環でした。…つまり、OXO と同じく研究の側面が強く、「ゲーム」と呼べるような面白いものではありません。
しかし、学生間の競争心により、「迷路のねずみ」に影響を与えます。
迷路のねずみもまた、「すごいプログラム」として講師のジョン・ワード(John E. Ward)によって作られた一種のデモでした。
はじめて「生きているような」アニメーションキャラクターを表示したゲームでもあります。
ユーザーは自由に迷路を作ることができます。そして、ネズミはその中を走り、チーズを食べ、迷路を学習します。
元がデモなので、ゲームらしさはやはり少ないです。
しかし、「人を驚かせるために」作られた、数々の細かな仕掛けのために、ぎりぎりのところでゲームとして成立する内容になっています。
MIT では毎年一般開放日を設けており、その際には TX-0 でもさまざまなデモが行われました。
各種デモプログラムの操作方法をまとめたメモが残っています。
その中に、もちろん Tic-Tac-Toe と「迷路のねずみ」も入っています。
Tic-Tac-Toe は、もしかしたら一般の人にも遊んでもらったかもしれません。
「迷路のねずみ」は遊び方の理解に時間がかかるゲームなので、おそらくデモのみだったでしょう。
しかし、一般人がコンピューターゲームに触れることができた、初期の一例です。
もっと知りたい!
ゲームルールがかなり複雑なので、遊び方がわかりにくいです。遊んでみたい人は、まずは上の説明を。
Javascript で動作する TX-0 エミュレータの上で、2つのゲームを動かします。
HTML5 が理解できるブラウザが必要です。一応 Android 携帯でも動作確認してあります。(画面が狭くて遊びづらいけど)
以上、僭越ながら自分のページで扱っているものを紹介。(TX-0 関連は、自分のページ以外にあまり情報を見ないため。英語ならあるのですが、実際のゲーム内容まで踏み込んでいるのは皆無。)